そもそも文字は、文章を書くためのもの。書道は文章を書くことと密接な関係にあるものだ。ブログを読む限り、森さんの書く記事は書芸術という難解な題材を扱いながらも、平易でわかりやすい。優しい文体の中にも書に対する厳しさ、こだわりがキラリと光る、とても森さんらしい文章だ。書の上手さは文章の上手さに比例するのだろうか?こんな疑問を森さんにぶつけてみると、学生のころは、今よりも文章を書くのが得意だったが、書を本格的に始めてから、それが変わってしまったのだという。特に現在、森さんが所属する書の団体である財団法人独立書人団は、初めて書道界に一文字作品を発表した少字数書の開祖。書道界の巨匠、手島右卿氏が創設したその団体は、世界にもその芸術性を認められているほどなのだか……。
「僕が書く作品も一文字のものが多いでしょう。字数の少ない書を書いているうちに、僕の書く文章の字数も減ってしまったんです(笑)。もちろん少字数書を書いている人がみんなそうではありませんよ。そんな単純な人間は僕だけだと思います(笑)。ただ、僕の場合、文字の一画目から最終画までの間に、壮大なストーリーの起承転結があって、それを筆で表現するだけでエネルギーをすべて吐き出してしまうんです。おこがましいかもしれませんが、書に込める精神世界はどんなにロマンティックな詩人でもかなわないかも? 人の優れた作品を見て『この線が泣いている』ってウルウルすることもありますよ。元師匠の米谷大洋先生からは『手島先生はいつも"沈黙は金"と言っていた』と聞いて育ちました。自己の書をもっともらしく語ることは、言い訳や逃げにもなりかねないですからね。ですから僕にとってブログを書くことは、書とは真逆の試練の場でもあるんです。ブログを始めてからは、書く内容によって、文体やモードが違ってくることに気づきました。まじめモードのときもあれば、おふざけモードのときもある。どちらかに統一したほうがいいのか、このままでいいのか、今は試行錯誤をしている段階です」
長い文章を書くことは書を広めるために必要不可欠なこと、と考える森さんは、書だけでなくブログでも修練を積んでいるのだという。だが、普通はそんなふうに文章を書く機会はなにもブログだけに限ったことではない。プライベートではさぞかし流麗な字で文章を書いているのでは……?
「賞状の筆耕(編集部注:筆写すること)や、生徒への硬筆や毛筆の手本は、自分でいうのもなんですけど、それはそれは美しいですよ。思わず、『あげなきゃよかった。もったいない!』って言ってしまうくらい(笑)。でも、プライベートでペンや筆で字を書くことはめったにありませんね。内容よりも字が気になって仕方がなくなるんです。直筆だから伝わるもの、活字だから伝わるもの、音楽だから伝わるものって、それぞれにあると思うんですよね。このインタビューの文章がすべて直筆だったらおかしいでしょ。仮に直筆だったとしたら、もっと簡潔な内容にしたいですよね。まあ本当のことをいうと、気を抜くととんでもない字になっちゃうんですけどね。書道を習う前の小学低学年の頃に戻ってしまうんですよ。(笑)。だから今はほとんどの文章は、パソコンを使って書いています。文章の内容にも集中できますからね」
森さんの字へのこだわりはこんなところにも。かといってそれを日常で発揮していては支障が出てしまう。書では基本的には「縦書き脳」、パソコンや携帯では「横書き脳」を使うのだという。こんなふうに区別をつけることが、書で100%の「書道神経」を発揮する工夫なのかも知れない。
「24時間365日、書のことばかり考えていたら身が持ちませんよ(笑)。実際に筆を持ち、書を書く一瞬に全身全霊を込めたいので、その他の時間はできるだけ別人格でいたいですね。そう思っていても書のことが頭によぎる自分が嫌なんですけど(笑)」
文章を書く練習の場でもあるブログ。
そこにはこんな工夫もあったのです! ≫
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2008年2月7日~2008年2月28日(当選者発表は2008年3月6日当記事内3ページ目にて)
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コメント
私は、書とは無縁の日々を送っていますが
学生時代、文化祭で名も知らぬ学生が大きく書いた
「花」という一文字に何故か目をうばわれ
しばらく見入っていたことを今も鮮明に覚えています。
たった一文字なのに、見る角度によって
種類や表情の違うさまざまな花が
見て、見て、と咲き誇っているような不思議な感覚。
あれって一体なんだったんだろうと時折思い出していました。
このインタビューを読ませていただいて、先生の
>書に込める精神世界は
>どんなにロマンティックな詩人でもかなわないかも?
というお言葉に、あの時は、書いた人の精神世界を
垣間見ることが出来たのかもしれないんだと思いました。
一文字にこめられるエネルギーに素晴らしさ。
ぜひ、先生の文字を生で拝見したいです。
これからも、ご活躍を楽しみにしております。
投稿 松谷 雪 | 2008/02/14 22:27:13
書に対しては無知な私ですが森さんの文字には力強さ、潔さ、尊さ等の気を感じます。
真髄を求める者には様々な力が宿るのでしょうか。
今後も益々のご活躍を。
投稿 宮 | 2008/02/15 20:13:51
どーも、本人です。
みなさんコメントありがとうございます。
さて、「森大衛のキャッチフレーズ」ですが、
今後それを僕が使用するということではなく、
面白いのを期待しているんですよ、奥さん。
めっちゃツボに入るような面白いのをひとつお願いします!
投稿 森 大衛 | 2008/02/18 1:44:35