
5年くらい前に、娘さんがある本を持ってきて、「この本に出てくるドライバーって、お父さんじゃない?」と安西さんに聞いてきた。本のタイトルは、石田衣良『電子の星 池袋ウエストゲートパークIV』。安西さんが読んでみたところ、この小説に登場する「ジャズタクシー南条」は確かに自分がモデルになっているようだ。
「いままで3人の女性客から、『このタクシーは、石田さんの小説に登場するジャズタクシーですか?』って聞かれました。石田さんの小説では、息子を殺されたタクシー運転手が、事件の真相を探るという内容なので、お客さんが『息子さん、大変だったんですね……』なんていうんですよ。『あれはフィクションで、私の息子はピンピンしてますよ』と説明するんですが(笑)」
一昨年にテレビの取材があり、その石田さんがジャズタクシーに乗車した。石田さんは安西さんに会うなり、「はじめまして。無断でジャズタクシーの名前を借用してすみません」と一言。「書いていただいて光栄です」と安西さん。この件をはじめ、チック・コリアやヘレン・メリルなどジャズ界の有名人の乗車エピソードやお客さんとの交流の話が、ブログにはたくさん掲載されている。ところで、安西さんはどのような経緯で、このようにブログを有効活用しはじめたのであろうか。
「ホームページを開設したのは7年前。すると、ジャズ・クルージング(以下、クルージング)に関するマスコミ取材が一気に増え、それによってお客さんも増えました。客層も変わったね。以前は、常連客とオーディオマニアが多かったけど、普通のカップルやジャズ好きの熟年夫婦なども、クルージングに申し込んでくれるようになった」
安西さんは昨年から、ブログにも取り組んでいる。お客さんが「ブログが更新するのに便利でいいよ」と教えてくれたという。ニフティのサイトでココログを見つけ、「僕にもできるかな?」と思いながら、試しにやってみた。予想以上に、操作は簡単。ホームページよりも更新が楽なので、それからはブログを使うようになった。
文章を書くのは、客待ちをしている時間が多いという。携帯電話で書いた文章を、とりあえずパソコンに送る。仕事を終えて帰宅するとパソコンを立ちあげ、送った文章を編集し、写真も添えて、ブログに書き込む。仕事柄、更新の時間帯は明け方になるそうだ。
「時間があれば文章を書いてます。だから、携帯にネタがたまってるんですよ。何かあるたびに、あれこれ書いてますからね。たとえば、中越沖地震が発生したでしょう。地震といえば、いろいろ思い出があるから、書くわけですよ。昔、自衛隊にいたから災害派遣にも行ったこともあるし。でも、更新が追いつかなくてね」
食事中にネタを思いつき、安西さんが携帯で文章を書いているときに、奥さんから「やめなさいよ、食事中は」と注意されたこともある。
そんな安西さんは、自身でブログを運営する一方、ほかの個人タクシー運転手にブログを勧めているという。しかし、「携帯もうまくいじれないのに、ましてやパソコンなんか使えるはずがない……」といってあきらめる人が多いとのこと。平均年齢が60歳を越している個人タクシーの運転手には、ブログはハードルが高すぎるのだろうか。安西さんはブログを続ける秘訣を、こう語ってくれた。
「けっして、ブログは難しくないですよ。長い文章を一度に全部書こうと思うから大変なんです。項目ごとに書いて、少しずつ更新すればいいんですよ。起承転結はあったほうがいいけれど、ブログに関しては、どんなに短い文章であっても、その日にあったことをその日のうちに書くことが重要です」
小学校のときから、作文が苦手であった安西さんにとって、ブログの執筆は文章の勉強にもなっているという。文章の勉強をしつつ、更新の頻度を高め、ジャズタクシーの存在を読者に知ってもらう。それが安西さんにとってのブログだ。
「安価で有効な宣伝になり、なおかつ勉強にもなる」。ブログを使ってみた感想をそう語る安西さんに、今後、ブログでやってみたいことを聞いてみた。
「まず、各都道府県に各1台(または1社)のジャズタクシーを置いてもらう。そして、ブログを中心とするネットワークでそれらをつなげられればと思っています。そのためには、それぞれのジャズタクシー運転手に、ブログをやってもらわなければなりません。ブログであれば、気軽にお互いの近況がわかり、連絡も取りやすいですからね」
「より多くのタクシー運転手に、自分の持ち味をお客さんにアピールできるようなブログをやってほしいです。たとえは悪いかもしれませんが、『相撲取りは、土俵にお金が落ちている』といわれるように、タクシー運転者は、道路にお金が落ちているようなもの。それを拾わないのは、もったいないでしょう(笑)」
音楽で雰囲気をつくる。トークで盛り上げる。そして、お客さんに楽しんでもらう。こうした感動とサプライズの演出が、誰にでもできるというわけではない。車やオーディオは、お金があれば誰でも買えるが、運転手の人柄やセンスはそうカンタンにはいかないからだ。ブログの文章や写真から伝わってくる安西さんの人柄が、クルージングのお客さんを引き寄せる。安西さんのジャズタクシーは、個人タクシー経営の幸福な成功例だといえるかもしれない。
最後に、安西さんに「この夏聴きたいオススメの3曲」を選んでもらった。
●ウォルター・ワンダレイ「サマー・サンバ」
●アストラッド・ジルベルト「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
●ジョアン・ジルベルト「イパネマの娘」
クルージングのプロが勧めるこの3曲を聴きながら、大切なあの人と真夏の夜をドライブしてみてはいかがでしょうか。
<次回予告>
次回は、アニメやコミック、特撮などに造詣が深い評論家・岡田斗司夫さんの登場です!
「オタクの王様・オタキング」として自分の趣味をとことん追求してきたその半生、そして1年で50kgを減らした驚きのダイエット法などを、2週に渡ってお送りします。ご期待ください!!
●文 :一文字剛
●撮影:上村写真事務所(上村明彦)
<取材協力>
GASTRO-PUB COOPERS 丸の内店
東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビルB1 03-5288-7896
本場ロンドンのパブの雰囲気で、昼はランチや居心地のよいカフェとして、夜はビストロパブとして本格的なディナーとワインが楽しめます。
おすすめは、1番人気の「フィッシュ&チップス」(¥780)や自家製ソースの「ローストビーフ」(¥1,150)。
<ブログ紹介>
iPod+真空管アンプ=ジャズタクシー
「感動とサプライズ」をテーマに、東京の夜景をクルージングするジャズタクシー。そのドライバー安西さんが出会ったお客さんとのふれあいや、有名ジャズメンとの思い出などを綴ります。
セレブの出すお題にトラックバックまたは、コメントで答えてプレゼントをもらっちゃおう! セレブが選んだ優秀作品には、プレゼントがもらえます。どしどしご応募ください!
「ブログ『iPod+真空管アンプ=ジャズタクシー』の中で、行っている"ジャズタクシーへの100の質問"の企画の中で、聞いてみたい質問は何ですか? ブログの感想でもいいですよ」(安西敏幸)

今回は、安西さんが使用しているジャズタクシーの名刺をプレゼント。なんと片面には、以前乗車したヘレン・メリルさん(ジャズ・シンガー)や秋吉敏子さん(ジャズ・ピアニスト)、石田衣良さん(作家)のサインが!(※複製になります) 3枚をまとめて、1名様に!
タイトルに「ココセレブ special プレゼント」と明記の上、お題に対する記事をトラックバックまたはコメントをお寄せください。なお、応募以外の感想などのトラックバック・コメントも随時受付中です!
当選者の方には、ココセレブ事務局よりご連絡させていただきますので、必ず「メールアドレス」がわかるようにブログ内、コメント欄に明記してくださいね。
(URLを入力せず名前とメールアドレスのみ入力された場合、名前は表示されますがメールアドレスはリンクされず公開されなくなりました)
終了しました
安西敏幸さんからコメントをいただきました!
夕湖 さん
ご当選、おめでとうございます! のちほど、ココセレブ事務局よりご連絡を差し上げます。
たくさんのご応募ありがとうございました。
之を知る者は 之を好む者に如かず
之を好む者は 之を楽しむ者に如かず 『論語』
(意味:いくら仕事に精通していても 仕事を好んでやってる人には敵わない
いくら仕事を好んでやっていても 仕事を楽しんでる人には敵わない)
何事をするのでもその中で楽しさを見つけることです。
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ココログでジャズタクシードライバーのインタビュー from はもはもブログ
オルガンの話ではないのですが…。 車内でジャズを聴きながら、都内をクルージングす[続きを読む] 2007/08/10 11:22:58
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