
岡田さんは、大阪生まれの大阪育ち。『巨人の星』が好きだった子ども時代は、お堅い性格だった。星飛雄馬が真面目に巨人の星を目指す姿勢に好感を持つ一方、主人公が権威に反発する『あしたのジョー』は、受け入れられなかった。
「『あしたのジョー』は、『おっさんよ、俺はくさりにつながれた犬にはならねえ』とか言いながら、ジョーが延々とボクシングをやっているのが嫌でした。『どうせお前は犬になるだろう、1年もしたら』なんて思っちゃうんですよ。つまり、反抗期の若者みたいなのが嫌いなんです。小学校のときから(笑)」
このころからすでに、人とは違う考え方をしていた岡田さん。大学生のときには、学生でありながらも、仲間と一緒にゼネラル・プロダクツという会社を作ってしまう。『新世紀エヴァンゲリオン』で一躍有名になったガイナックスの母体となる会社だ。もともとはグッズの専門店だったが、事業内容が映画にも拡がっていくに伴い、東京に出てきたのだという。会社を設立して大変だったことは、何よりも資金繰りだった。
「会社をやっていると、貧乏な状態と金持ちの状態が交互に訪れるんです。貧乏なときは、『あと5日間で700万円を用意しなければならない』とか、『来月は2500万円を借りなければ……』となる。他方、利益が出すぎて、税理士から『社長以下、取締役全員が、今月中にひとり250万円を使ってください』と言われたこともあります。とにかく、アニメを作ると金がなくなり、アニメ以外のことをやると儲かっていました」
つまり、ジブリをはじめとする多くのアニメ・プロダクションは、アニメ制作で借金をして、キャラクターグッズやパチンコなどで儲けるというサイクルで仕事をしているのだという。アニメ制作自体はそんなに儲かる仕事ではないようだ。
1981年に設立したゼネラル・プロダクツは、岡田さんが東京に来た1984年から社名をガイナックスに変更した。そこでアニメやゲームソフトの制作に携わったのち、1992年に退社。岡田さんはその後「オタクの王様=オタキング」と名乗り、仕事の比重を評論活動にシフトする。
「最近で、印象深かった仕事といえば、やはり今回のダイエット本『いつまでもデブと思うなよ』 ですね。書いていて楽しかった。1995年に出した『ぼくたちの洗脳社会』 もストレスなく書けました。僕の場合、本を書くのは仕事というよりも趣味なんですよ。つまり、昔はアニメをやって損をして、周辺の事業で儲けたように、本を書くと損をするから、ほかのことで儲けているわけです。本というのは、費やす時間に対する収益が低すぎる。10万部を超えても、あまり意味がないんです(笑)」
評論活動のかたわらで、大学での講義も積極的におこなっている岡田さん。これまで東京大学や立教大学などで教鞭をふるい、いまは大阪芸術大学で客員教授を務めている。最近の大学生を、岡田さんはどう見ているのだろう?
「いま教えているのが、学級崩壊世代。一番、落ち着きがない学生たちです。だから、授業中に気を抜くと、すぐに注意がそれて、私語がはじまる。東大生は逆ですね。注意をそらした場合に私語をするのではなくて、勝手に教科書の先を読んだりします。こちらの言いたいことを先回りしてとらえようとするんですね。教師としては非常に楽だけど、あまりこちらが学ぶものがない。教えていて強く感じることは、偏差値が低い大学であればあるほど、教える側の技術が必要になり、同時に学生から学ぶものも多い、ということですね」
評論家、大学教授、経営者、そして落語家……。多様な仕事をしなやかにこなしながら、多くの趣味を持つ岡田さんが、ものごとに興味を持つ基準は何なのであろうか。
「それは、わかんないですよ。ダイエットだって、直前まで自分がするとは思ってなかったもん。『降ってくる』って感じですか。いつでも、自分の3カ月先がわからないんです。現在、自分が好きなことに集中していくのが僕の生き方なんで」
たしかに岡田さんの著書を見ると、オタクという基本姿勢は通底しつつも、社会論、結婚論、クリエイター論など、幅広いテーマを扱っている。だがどんなときも、論点を明確にカテゴリー分けするという思考スタイルは崩さない。そこに何かこだわりはあるのだろうか?
「世の中には分類できないことのほうが多いと考えがちですが、意外に分類できるものなんです。僕は、ものごとを4つに分けることが多い。例外はあるけど、たいていのことは4つくらいに分けて考えるとスッキリするんですよ」
岡田さんは、「あぁ、こうやって話していると、自分が合理的すぎて嫌になりますね(笑)」と語りながら、こう付け加える。
「『100%こうだ』と無理に突き詰めて考えてしまうより、80%くらい該当していればいいんじゃないかな。たとえば、口べたな人は、正確な言葉を探そうとして口べたになります。でも、概念のど真ん中にある正確な言葉なんて見つからない。ならば、ああでもないこうでもないと話し続けて、少しずつ自分の考えていることの中心を照らしていくような感じでいいんです。たくさんの言葉を吐き出すことが大切なんです」
オタキングの異名を持つ岡田さんに、アニメや映画の「はずせない名作」について聞いてみると、「つまらないけれど名作なのは『スター・ウォーズ』シリーズ。おもしろいけれど人気がないのが『リトルショップ・オブ・ホラーズ』というホラー・ミュージカル」というお答えだった。さらに、話はアニメや漫画作品と男女交流との関係に及んだ。
「男性と話を合わせたいなら、『機動戦士ガンダム』を見ておけばいいでしょう(笑)。ガンダム以外のロボットアニメは観なくていいです。いま25から35歳くらいまでの女性だったら、その人たちの将来の彼氏は絶対にガンダムの話をしたがるから。共通の知識として、蓄えておいたらいいですね。話が楽にできます。ホストクラブいっても、ホストはみんなガンダムの話に食いついてきますよ」
女性はガンダム。では、男性はどんな作品を?
「男の人は、少女漫画を読んでおいたほうがいい。読むべきものは、付き合う女性の年齢によりますね。23歳までだったら、『NANA』を読んどきゃいいっすよ。30歳までだったら、よしながふみを読めばいい。30歳を超えたら、山岸凉子かな。くれぐれも一条ゆかりの話はしないように。女の子に細かいことを突っ込まれるんで危険です(笑)」
絶えず好きなことに集中している岡田さんは、肩もこらないし、ストレスもたまらない。午前3時に寝て、午前8時に起きる毎日。休日は、「人に知られていないけれど、おもしろいビデオ」を探して、それを家で観ることが多い。また、最近は工作も趣味に加わった。机の上には、「ムーミンの家」や『母をたずねて三千里』のエンディングに登場する「地球」などの自作ミニチュアが飾られていた。そんな岡田さんに、これから挑戦してみたいことをたずねると……。
「いまバク転ができるように、がんばってます! 体重を減らすだけじゃ、つまらないじゃないですか。運動能力がバカみたいに上がるとおもしろい。だから、1年をめどにバク転ができるようになりたいですね」
今回のインタビューで「ダイエット」というキーワードが登場した。そう、岡田さんは1年間に50kgの減量に成功したのである。17日に『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)という本を刊行する岡田さん。次回は、「レコーディング・ダイエット」という独自の減量法について、詳しくお話を聞いてみる。10kg以上の減量を考えている方には、ぜひ読んでほしい。
<次回予告>
オタクとして、アニメや漫画などに没頭して生きてきた岡田さんが、約1年前にふと気がついたこと……それはご自分の健康のことでした。ダイエットという行為すらも、つきつめて研究対象にしてしまうその徹底ぶりを次週はお届けします。乞うご期待!!
●文 :一文字剛
●撮影:古屋陽子
<ブログ紹介>
「レコーディング・ダイエットのススメ」
岡田さんが1年にわたって取り組んできたダイエットの経過、落語への熱い想い、そして日々のつぶやきや思考で満たされた、内容の濃いブログです。語りかけるような独特の文体、そして的確な分析は、オタクならずとも引き込まれてしまいます。
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コメント
タイトル「ココセレブ special プレゼント」
男性に話をあわせるなら「ガンダム」はわかる気がしますが
女性は「少女漫画」というのは今ひとつピンと来ませんでした。(自分は30代半ばの女性です)
まぁ男性でもうちの旦那曰く「ガンダムは見ていない」
(EVAオタクなのに!@41才)、という人もいますが
そうなると少数派同士ってことですかね。結局。
むむむ。
「なかよし」「りぼん」「LaLa」くらいは
逆に「ガンダム」に匹敵するような気もしますが
いま30代の女性が「少女漫画」をそんなに読んでいる
という印象は周りを見てもないように思いました。
どちらかといえばテレビドラマとか?
よしなが ふみ 恥ずかしながら今初めて聞きまして
ググってみました。
なんの話だったら30代女性は食いつくか?
わたしもよくわかりません・・・
20代は内田春菊とか読んでいました。
30代になって印象深いのは安彦麻理絵かなあ
(でも男性がこれ読んでも困るかも)
物事の分類の話は面白いですね!
『オタクの歩き方・日本編』
『オタクの歩き方・海外編』は欲しいです!
買いたい!
投稿 N/Shin | 2007/08/24 4:22:54
20,30代の女の子までですね。漫画じゃなくてライトノベルを読んでたりするかも。
「女神幻想ダイナスティア」は面白いとだけは書いておきましょう。
投稿 アスリア | 2007/09/01 19:33:48